☆拍手御礼小話*17☆
〜by悟空〜




オラがアイツをこっちに連れてきちゃってから一ヶ月。
アイツが修行を始めてから、一ヶ月。


「いててて………っ」


今日の修行も残すところあと基礎トレだけって時。
今日もミスター・ポポとの組み手で擦り傷打撲あおたん作ったアイツが、顔をさすりながらオラのとなりに座り込む。



「大丈夫か?」


ボロボロなその様子に、自分で誘っておきながらちょっと可哀想になって聞いたんだけど。



「ん〜、まだまだっ! ゼンゼン大丈夫っ!!」



オラに答えてるっていうか、自分に言い聞かせるようにグッと拳を握りしめ、さっさと腹筋にとりかかるアイツ。

今までこんなふうにカラダ鍛えたことないって言ってたのに、ここ一ヶ月でミスター・ポポの考えた修行を大体こなせるようになってる。
ポポもビックリしてた。
コイツには、「素質」ってやつがあるんだってさ。





――――――なんだろう?
初めて見たときから、なんだか不思議な奴だった。
見てるだけで、なんかホッとするような、なんかドキドキするような。
あんまり成長が早いから、そんなふうに感じんのかなぁ…。





必死になってるアイツを、なんだか微笑ましい気分で眺めてたら、オラの視線に気づいたアイツが動きをとめてオラを見る。その、不安そうな、切羽詰った瞳の色。



「そんなに、ヒドイ顔してる?? ヤバいっ!? 女失格!?!?」





そりゃ、組手のせいで左の頬っぺたは腫れあがってるし、右目のまわりは青いし、唇の端は切れてるし。
確かに見た目はすげぇボロボロなんだけどさ。



「いや、なんかわかんねぇけどさ、おめぇ見てると嬉しくなんだよな〜」



にかっと笑ってそういったオラを、アイツがきょとんとした目で見上げ。
それから、ハァ、とため息をつく。



「………それって、答えになってないよなぁ」



ポツリ、と零したアイツの情けない顔が、なんだかものすごく可愛く見えた。



「ははっ。確かに顔ボロボロだけどさ、おめぇはすげぇ可愛いぞ」



オラの言葉に真っ赤になってうつむくアイツ。
うん、ホントにすげぇ可愛いぞ、おめぇ。





なんだかよくわかんねぇけど、おめぇが頑張ってるのを見ると、オラもやる気がわいてくるんだ。
どんなに厳しい修行でも、おめぇをを見てると辛いなんて思えねぇんだ。





ホントにホントに不思議な奴だ。
頑張り屋で、前向きで、素直で、明るくて。
だけど―――――――――泣き虫なんだよな。だから。










オラはずっとおめぇのそばにいるぞ。
おめぇがひとりで泣かねぇように。
………オラが、守ってやりてぇんだ。