☆拍手御礼小話*24☆
〜カタオモイ〜






気づいてしまった、この気持ち。
オラはあいつに、「片想い」っちゅうやつをしてるらしい……。



「悟空おはよっ!」
「お、オッス!」



今日も元気なおめえの笑顔。朝陽にも負けないほど眩しくて、朝の空気にも負けないほど清々しくて。
にっこり笑うその顔を、『可愛い』と感じるようになったのは、いつからだったんだろう。



「さてさて今日も、厳しい修行の始まり始まり〜」



パンパン、と自分の顔をたたき、おどけたように肩をすくめて苦笑してから、ランニングを始めるおめえを見て、オラはそんなことを思っていた。







明るくて、優しくて。
ふわふわと柔らかいくせに、強気で頑固で。
そのくせ、寂しがりやで泣き虫で。



おめえの表情のひとつひとつが気になってしかたねえ。
おめえを見てるとな、胸の中があったかくなって、それからぎゅうって掴まれてるみてえに苦しくなる。
そして――――――『好き』が、溢れちゃいそうになるんだ。







溢れてきそうな想いを持て余して、ボケッとおめえを見ていたら。



「ふぎゃ!!!」



ずべし!!!



何かに蹴躓いたのか、走っていたおめえがいきなり豪快にコケた。





「おい、大丈夫か!?」

「だ、大丈夫大丈夫。なんか、足がもつれちゃった」



てへへ、と照れたようなおめえの笑顔。
まったくドジだな〜、なんて笑ってる顔を見てると、抱きしめてしまいたい衝動にかられちまって。
でも、突然抱きしめたりしたら、なんだか嫌われそうな気がして、代わりにおめえの頭をくしゃくしゃっと撫でることでその衝動をグッと抑えた。



気持ちよさそうに目を細めて、ふわん、と浮かんだ微笑が、可愛くて。
自分の気持ちに気づく前、というか、自分のこの感情がなんなのかわかってなかった時だったら、「可愛い」って、素直に口にできたのに。







今はもう、胸がドキドキして、痛くて、切なくて。







こんな『好き』っていう気持ちが、『恋』で。
オラは、おめえに『片想い』。







いつかおめえも、オラのことをそんなふうに『好き』になってくれればいいのにな。







そんなことをオラに思わせる、そんなおめえに絡めとられて。







修行してるとき以外のオラはもう、身動きするのもやっとなんだ。