☆拍手御礼小話*9☆
〜byヒロイン〜




「すごい………」

開口一番、わたしの口から出たのはそんな感嘆とも呆れともとれる声だった。


なにがすごいって、、、この食事の量!!!
こっちの世界に来てから初めてのお食事。 精神的には参っていてもおなかはペコペコな自分をなんとも情けないなぁ、なんて思いながら、それでもポポさんに呼ばれたときはやっと何かを食することができる!!!と喜びいさんでスキップなんかしながら食堂のようなところに案内されたんだけど・・・。

大きなテーブルにはところ狭しと料理がぎっしり並べられ、確かにとっても美味しそうなんだけど、何故にこんなにたくさんあるのかとっても不思議だった。ざっと見たってどう考えても50人分はありそうだ。
わたしが把握しているかぎり、ここ神殿には神様、ポポさん、悟空、そしてわたしの四人だけのはず。 他にも大勢の方がいらっしゃったりするのだろうか?


「ねぇ、ポポさん」

「なんだ?」

「神殿には、いったい何人くらいの人がいるんですか?」

「ここには、神様と、孫悟空と、お前と、ミスター・ポポの四人だけ」



―――――――――ほら、やっぱり、四人しかいないじゃん。
じゃあ、四人でこれほどの量を喰い尽せと、そうおっしゃるわけですか………?



「んと、ね、ポポさん。わたし、確かにけっこう食べるほうなんですけど、ちょっと…こんなにたくさんの食料を完食できる自信はありません。ごめんなさい」

作ってくれたものを残すことは、料理した人に対する一番の侮辱だ、というお母さんの言葉を思い出し、思わずわたしはポポさんに向かって頭を下げてしまったのだが。
ポポさんはその乏しい表情でにこりと笑い、「座れ」と言うので、勧められるままにテーブルについた、そのとき。



「ただいま〜! 腹減ったぞ!!!」



下界修行から帰ってきた悟空がそんなことを言いながらわたしとポポさんのいる部屋に入ってきた。

わたしが席についてるのを見た悟空は、なんだかひどく嬉しそうに笑って。

「お? やっと食べる気になったんか?」

その笑顔に危うくやられてしまいそうになり、あわててわたしはコクコク頷く。

「う、うんうん! おなか、すいちゃって…」

「はは、そっか。いっぺぇ食って、早く元気になんだぞ」



あぅ/// ステキ過ぎですから、その笑顔は…ww


結局はやられてしまって、くらくらするアタマと熱くなったホッペタ。 ボー、としてしまったわたしに、話しかけるポポさん。


「おい、自分が食べる分、先に取れ」

「――――――ぁえ!?!? あ、は、ハイ」


でっかい取り皿を渡されてハッと我に返り、しばらく胃になにも入れてなかったから少し控えめにしたほうがいいかな、と思いつつ消化のよさそうなものをお皿に乗せ終わると、さらに念を押してくるポポさん。


「それだけで、足りるか?」

「? ハイ、大丈夫ですけど………」


わたしの答えにポポさんは頷くと、悟空に顔を向け。


「よし、じゃあ、食事にする」


なんだか腑に落ちないまま、とりあえず手を合わせ。



「いただきます」「いっただきまーす!!!」



声をそろえていい終わるや否や。 自分の目の前で繰り広げられているその光景に、目を奪われる……というか、釘付け!!!



猛烈な勢いで食料を口にかっ込む悟空。 軽く数十人分はあろうかと思ったその料理のお皿が、次々に空になっていく。


「ふぉい、ふぁわくたぶぇふぉふぉ」


口いっぱいにご飯を入れながら、何かを話しかける悟空だけど、当然なにを言ってるのか見当もつかないわたしに、ポポさんは「早く、食べろ」と言ったあと、悟空に向かって。


「口に物を入れたまま、話すな」

なんて、教育的指導を行ってるあたり、やっぱりポポさんは悟空の先生だ。



あっけに取られながらも空腹に促されるままお皿に取ったご飯を口に運ぶと。


「うわぁ…おいし〜い///」


あまりに美味なそれにシアワセ〜vvなんて思いながら無意識にこぼれる言葉と笑顔。

やっぱりわたし、ご飯食べてるときと眠りに落ちる瞬間がいちばん好きだなぁ、とその小さな幸せをかみしめながらニコニコと料理を食べていると。


なぜか食べるのを一時中断している悟空と目が合って。


「な、なななんですか???」

じぃっと見られてることに焦ってどもりながら聞けば。

「おめぇさぁ、そうやって笑ってるとすっげぇ可愛いぞ」


にこ、っと笑ってそう言って、また猛烈に食べ始める悟空。



わたしはといえば、、、出逢う前から大好きだった悟空(記憶が抜けてしまったためになぜ好きだったのかはわからないが)にそんなふうに言われてしまい、恥ずかしいやら嬉しいやら鼻血吹きそうやらでいっぱいいっぱいになってしまった。
バクバクいう心臓をごまかすように、食べることに集中する。




「ぷはぁ!!! 食った食った!!!」


ものすごい量をひとりで平らげた悟空は、パンパンになったおなかをさすりながら満足げに笑った。



「す・・・すごい・・・・・・・・・」



わたしが自分の分を食べ終わったのとほぼ同じくらいにその信じがたい量を食べつくした悟空に、それ以外の言葉が浮かんでこない。

ポポさんがあんなにたくさんの料理を並べたことをようやく理解し、わたしはちょっと苦笑い。




悟空のお嫁さんになる人って、タイヘンだなぁ…。





純粋にそう思ってしまった、悟空との初めての会食の日。