夏真っ盛りの暑い日に、それは届いた。

「なんだ? それ」
「なんだろ? え〜と…あ、ブルマさんからだ」

宅急便屋さんが持ってきた小包の送り主は、『西の都、カプセルコーポレーション・ブルマ』。
なにかな〜、と思いながら包みを開けたは、そこから出てきたシロモノを見て――――――固まった。


トゥルルルル……、トゥルル…カチャ。

『ハァイ、こちらカプセルコーポレーショどがががが!!!ちょっとうるさいわねっ!』
「あ、ブルマさん? わたしですです。お久しぶり〜」
ちゃん? ちょっとアンタねぇ! ここんとこゼンゼン音沙汰ないってどういうことよっ! 結婚してからも連絡よこしなさいってあれほど言ったでしょっ!?』
「ご、ごめんなさいっ!いろいろと忙しくて…。それより、今日ブルマさんから届いた代物、、、とりあえずありがとうなんですけれどもっ! こんな大胆な水着、着れませんよーーーっ!」
『なに言ってんのっ! 若いうちしか着られないんだからそのくらい着ときなさいよっ! ちゃんに絶対似合うと思って送ったんだから。……それより、忙しいってどういうことよ』
「それがわたし、子供を―――――――――」
『ドッゴォーーーン!!! ちょっと、何やって…………きゃああああ!!! ごめんねちゃんっ、今会社の新製品の製作中で取り込んでるのっ! この夏いっぱいかかりそうだから一緒に行けないのが残念だけど、その水着着て孫くんと海にでも行ってきて! じゃあねっ!』
「あ、ちょっとブルマさん!?」

ガチャリ。ツー、ツー、ツー。


子育てに追われに追われ、あっという間に三年の月日が流れ。
その間、連絡のひとつも入れる余裕もなかった(というか、忙しさに忘れていた)が、お礼ついでに子供が産まれたことをブルマに報告しようと思ったのだが。

「なんか……言いそびれちゃった」


困ったように振り向いたに、悟空が苦笑し、悟飯が首をかしげた。






モテモテ家族の海水浴





「で、ブルマ元気だったか?」

「ああ、うん。そりゃもう、あまり過ぎるくらい元気みたいだったけど……、なんか忙しそうだったよ。一緒に行けないけど、コレ着て海に行けって言われた」


の手のなかにあるのは、先ほど届いたブルマからの贈り物―――すなわち、水着。



確かに、可愛い。
シンプルなデザインだけど、色的にも爽やかな水色での好きな色だし、ワンアクセントに小さいリボンなんかもついてるし。本当、可愛いんだけれども。


「子供産んだ躰で………このビキニはちょっと無理じゃ………」


そう。けっこうきわどいビキニだったりするのだ。
短いけれども裾のひらひらしているパレオがついているのは、きっと照れやなを思うブルマのちょっとしたお情けによるものだとは思われる。


「子供産んだ躰…って、おめぇ前と全然変わんねえじゃねえか。なぁ、悟飯?」

どうしようどうしようとその水着を片手におろおろしているに、そんなうろたえるような躰してないよな、と不思議そうに悟空が言って悟飯を振り返ると、悟飯はお絵かきをしていた手を止めた。


「まえ、は、わからないけど……ボク、うみにいってみたい」


にっこり笑う悟飯の、なんと可愛らしいことか。
三歳児って、こんなに可愛いんだろうか? いや、自分の子供だからそう感じるんだろうか。
ちょっと舌足らずなその口調も、もうとにかく可愛くて可愛くて。
――――――――――――親バカである。



「うわっ、おかあさんっ」
「あ〜〜〜、悟飯ちゃん可愛いっ! そうね、ブルマさんも若いうちしか着れないんだからって言ってたし、一児の母だけど一応まだギリギリ十代だし。思い切って行っちゃうか!」


悟飯に抱きついてその頭をぐりぐり撫で回すと、その腕の中でモガもガともがいているわが子を見た悟空が一言。


、オラには?」


ぷくっと頬を膨らませる夫の顔は、腕の中の愛息子と瓜二つ。
やきもちを妬いているそのしぐさが、やっぱりなんとも言えず―――――――――可愛くて。


悟空の頭もよしよしと撫でながら、はクスクス笑って。



「悟空も悟飯も、だ〜いすきv」



の言葉に、息子と夫は顔を見合わせ、それからへらっと二人して笑い合った。

















で、舞台はかわって。
やってきました海水浴場。
眩しい太陽に、青い空、青い海、白い砂浜。



「わ〜い、海だ! 海だ海だ海だ〜〜〜!!!」
「すご〜い、これがうみなんだ〜!!!」


毎度なぜか海を見るとはしゃぎだすと、初めて見る広い海に感動の声を上げる悟飯。
キャッキャとはしゃぐ二人を微笑ましい気持ちで見ていた悟空だったのだが。



「よぉし! 泳ぐよ悟飯!」


気合を入れて服を脱ぎ、下に着ていた水着をご披露してくれちゃったに、悟空は一瞬目を奪われた。





いや、一応、というかまちがいなく夫婦なんだから、見慣れているはずの彼女の躰の線。
下着姿だって幾度となく見ているはずなのに。



伸びやかな手足、大きすぎず小さすぎずの胸。太陽にも負けないくらいの眩しすぎる白い肌。





ブルマの選んだ水着は、の雰囲気にぴったりマッチしていて。
すごく。そう、すごく可愛いのだけれども。
同時にほのかに香る、女の―――――――――色香。





「おとうさん、どうしたの? おかお、まっかだよ?」


くいっと腕を引っぱられ、はっと我に返ってから視線を外して声のしたほうを見れば、不思議そうにことりと首を傾ける悟飯がそこにいて。
いまだにドクドクと早い鼓動と熱い顔のまま、なんとか笑顔を作った。



「あ、ああ。母ちゃん、可愛いな〜、悟飯」
「はいっ! おかあさんはいつもかわいいです!」
「そうだな〜。で、その可愛い母ちゃんはどこに行ったんだ?」
「さっき『およぐぞ〜!』っていいながら、さきにうみのほうへはしっていっちゃったよ。おとうさんも、はやくいこうよ」


後先考えずに突っ走るあたり、昔とちっとも変わらないに軽く苦笑して。
悟空は上着を脱ぎ捨てると、悟飯の手を取った。



「よおし! 行くか悟飯!」
「はいっ!」


ニコニコといいお返事を返す息子の頭をひとつ撫で、のあとを追って海へと歩き出した悟空だったのだが。





「あの〜、ちょっといいですか?」
「え?」



いきなり声をかけられて足を止め、悟空はきょとんとそちらを見る。
父親が足を止めたので、悟飯も必然的にストップだ。

視線の先には、見覚えのない三人組の女の子。声をかけてきたのは、真ん中にいるリーダー格の娘だった。


「なんだ? なんか用か?」

まっすぐそっちを見て聞き返せば、彼女たちは軽く頬を染め。

「いえ、あんまりカッコいいから…逆ナンしちゃいました!キャーーーっ!!!」


いきなり黄色い声を上げられ、ビクッと肩を揺らす悟空と悟飯。
それから、ぎゃくなん、ってなんだろう? と首をかしげている二人にはかまわず、彼女たちは矢継ぎ早に話し始めた。


「すっごい筋肉ですねっ! セクシーだわ! なにか運動とかやってるんですか?」
「運動っつうか、身体鍛えてっから…」
「そうなんだ。でもホントカッコいいですね〜。……あれ? やだこの子、貴方にクリソツでめちゃ可愛いっ! 年の離れた弟ですか〜?」
「いや、オラの息子の悟飯だ」
「「「息子ーーー!?!?」」」


にっこり笑ってなんの気負いもなく答える悟空に、まさか子持ちだとは思っていなかったらしくビックリしたように目を丸くして声をそろえる彼女たち。
だが――――――女の子のパワーをなめちゃあいけない。



「わ、若いパパですね〜。悟飯くん…っていうんだ。いくつ?」
「あ、あの……このまえさんさいになりました」
「礼儀正しいのね。か〜わい〜」
「ね、お姉さんたちと遊ばない? もちろん、パパも一緒に」

もちろん、彼女たちの狙いは可愛いお子様ではなく、カッコいい父親のほうである。
子供がいようがいまいが、若くて素敵な男といわゆる『ひと夏の体験』が目的なわけで。


彼女たちの目に映る悟空は、そりゃもう、イイ男。
がっしりとした身体もさることながら、漆黒の澄んだ瞳。穏やかなその雰囲気。擦れてなさそうなまっすぐなまなざし。
オトすのには、まさにうってつけ。


周りを見れば、先を越された『それ』目的な女の子グループが他にもうじゃうじゃといて、「フラれろ〜」的な怪しいオーラを飛ばしていたりする。


父親にすりより、困ったように見上げてくる悟飯の視線を受け、悟空がぽりぽりと頬っぺたをかいた。


「あのさ、悪ぃんだけど――――――――――」
「―――――――――なにやってんの? 悟空さん」



が待ってっから行かねえと、と言おうとしたとき、タイミングよく割って入った澄んだ声。
悟空の妻で、悟飯の母の登場である。



「ああ、。今行こうと………って」


振り返り、ホッとしたように笑って言いかけた言葉が、を見て途切れた。
肩を震わせてうつむくその姿。



海に思考を奪われて、たったかと先に行ってしまったが、残してきた息子と夫がなかなか来ないので戻ってきてみれば。
若い女に取り囲まれて、へらへらと笑っている(ように見えた)悟空の姿と、頭を撫でられてにっこり笑っている(ように見えた)悟飯の姿。



、どうし―――――」
「そうだよねっ!先に突っ走ったわたしが悪いよねっ!ジャマしてごめんなさいよ!!なにさ悟空のバカッ!!!」



キッと顔を上げたの瞳は思いっきり怒りに染まっていて。
まさか悟飯を怒鳴りつけるわけにもいかず、苛立ちをそのまま悟空にぶつけて、バッと走り出した。



「お、おい待てよ!」
「おかあさんっ」


慌てたような悟空と悟飯の声が聞こえたが、待ってやるつもりなんか毛頭ない。





走り去る彼女の後姿を目で追っていた逆ナン組みは、「あれが奥さんか」とため息を落とす。
同じ女ながら、天晴れだ。
あれが奥さんじゃ逆立ちしたって敵いっこない、と瞬時に悟ったものの、その奥さんはなにかを勘違いしてダッシュでどこかに行ってしまったんだから、もう一押ししてみるか。



「奥さん行っちゃいましたね」
「どうせ誤解されちゃったんだから」
「一緒に遊びましょうよ、ねっ?」



なおも言い募る彼女たちを振り返った悟空の、その顔は。
先ほどまでの穏やかな気配はどこへやら。完全に焦りいっぱいいっぱいになっていて。


「それどころじゃねえ! 行くぞ悟飯っ!」
「はい、いきます!」


悟飯を担ぎ、の走っていった方向を猛ダッシュで追跡して行くその姿に、「やっぱりだめだったか」「次いこ、次」「そうね〜」と言い合いながら、砂浜を歩いていった。















一方こちらは、勘違いしてへこんでいるである。
人気のない岩場の向こうの砂浜に座り込み、体育座りで落ち込みマックスだ。


「あ〜あ、やっちゃった。悟飯の前だったのに………母親失格だぁ…………」


感情を悟空にぶつけてしまったことを、今更ながら後悔なんかしていた。
子供は自分の心理を敏感に感じ取る。だから、いつも穏やかな気持ちでいよう、いつも楽しいことを考えていようと。感情的になるのを極力抑えてきたつもりだった。
的には感情を抑えるのは非常に苦手分野だから、時々抑えきれなくなっちゃうときもあるけれど、悟飯の前では見せないように注意していたのに。



「でも………悟空ってば『オラだけ見ろ〜』なんて言っといて、自分は若い女の子を………って、違うよね。多分逆ナンでもされてたんだろうなぁ………」


そう頭では理解していても、やっぱり嫌なものは嫌だ。
いつも自分だけを見ていてもらいたい。どんなときも、自分だけを愛してもらいたい。
そんな醜い独占欲が、久々に頭をもたげてきてしまって。



「モテる男が夫って……けっこうツライかも」



膝を抱いて、そこに顔を埋め、それからすくっと立ち上がった。

「こんなところで自己嫌悪してたって仕方ないじゃん。あやまろうっと」



そう呟いて深呼吸したの肩に、ポン、と手が乗った。

「?」



なんだろう?と疑問符を浮かべながら振り返ると、日焼けした水着姿の男の子たちがくるりと自分の周りを囲んでいて。
肩に手を置いているのは、なんだか金のネックレスなんかしているいかにもナンパな男の人。



「あの〜、なにか御用ですか?」


軽くその手を払いのけ、いぶかしげに目を細めてそう聞けば、肌が黒いからなのか、はたまた毎日磨いているからなのか、その人が真っ白な歯を見せて笑った。



「うん、キミ落ち込んでるみたいだからさ、慰めてあげようと思って。な、みんな」
「そう。可愛い女の子がひとりで哀しそうな顔してるのなんて、ほっとけないしさ」
「てゆうか、マジで美人だよね、キミ。彼氏と喧嘩でもしたの〜?」
「そんな彼氏忘れちゃいなよ。オレたちのほうがダンゼン優しいよ?」
「そうそう、だから」
「「「「「オレたちと遊ばない?」」」」」



見事なまでのフォーメーションで声をそろえた彼らを、思わず感心したように見渡してしまっていたが。
悟空が逆ナンされて落ち込んでたら、今度は自分の番なのか、、、と思わず気落ちしてしまう。



「え、と。まず、確かに落ち込んでましたけど、もう浮上しました。今は哀しそうな顔はしてません。マジで美人?目の検査をしてきてください。喧嘩したわけじゃなく、わたしがやきもち妬いちゃっただけ。愛してる人をそう簡単に忘れられますかっての。優しい?そんなの会ったばかりでわからないでしょ?だから―――――――――」

にっこりと自分を取り囲んだ男の子たちに笑顔を向けて。



「あなたたちとは遊びません。ハイさようなら」



普段はナンパにうろたえるだが、状況が状況なだけに異様に落ち着いていて。
こんなのにかまってないで、さっさと悟空と悟飯を見つけて、家族揃って初めての海を楽しもうって思ったのに。





「あのさ、キミ、この状況分かってる?」





行く手を遮るナンパ男がそう聞いてくる。
眉をひそめてそういった男を見上げると、ニヤァ、となんだかイヤラシく顔をゆがめて笑っていて。


「オレたち、男5人。キミは華奢な女の子。さて、この状況でキミが抜け出せる可能性は?」


自信たっぷりなその意見に、軽くため息が漏れる。
自分は見掛けは大変弱々しく見えるけれど、人を見かけで判断すると大変なんですよ、と教えてやりたいが。
できれば暴力沙汰はおこしたくない。は平和主義者なのだ。



「答えは、100%です。なので、できればこのまま通してくれると、ありがたいんですけどね〜」



の言葉に、皆さん一瞬目を丸くして。
それから、顔を見合わせて大爆笑。



「そうなんだ〜。じゃ、オレたちどかなくたって抜け出せばいいじゃん」
「ま、オレたち通す気ないけどな」
「めちゃ上玉だけど、アタマちょっとイカレてる?」
「イカレてても別にいいけどね。その顔とその躰さえあればさぁ」
「そゆこと」



うっわ〜、こいつらめちゃくちゃ失礼な方たちですこと。
よりにもよって、、、わたし、アタマがイカレてることになってしまってますよ………。





「あの、ですねぇ。わたし、こんなカッコしてますが」
「いいねぇ、その水着。可愛らしいのに、なんかいやらしくてさ」
「違います。こんな、弱々しくて細っこい姿してますがってことです」
「いいじゃん。華奢で思わず守ってやりた〜いってかんじでそそられるし」
「もうっ! 人の話のコシを折らんでくださいよっ!!!」


とにかく自分は強いんだということを言いたいのに、話を聞く気がないのか(イヤ、端から聞く気はないだろう)いちいち口を挟むやからにムカムカして声を荒げたのだが、それもまた逆効果で。





「怒った顔も」
「可愛いだろ? オラのは」


割って入った穏やかな声は、紛れもなく悟空の声で。
気は進まないけど殴り倒して強行突破しかないか、なんて不穏なことを思っていたがハッとして振り返ると、そこには貼り付けたような笑顔を浮かべる悟空の姿と、心配そうな悟飯の顔。





「悟空……さん。と、悟飯ちゃん?」





瞳が二人をとらえた瞬間、はもう、まわりの男どもなんかわき目も振らずに夫と息子のもとに駆け寄って、それからガバリ、と勢いよく頭を下げた。



「ごめんね悟空っ! さっきはやきもち妬いちゃったの…。それから悟飯ちゃん、ごめんね。思わず感情的になっちゃって。本当にごめんなさい。ごめんね〜〜〜」



ひたすら謝るの頭にポン、と大きな手が乗った。



「もういいって。がやきもち妬いてくれんの、オラ嬉しいしさ」
「ボクも、びっくりしたけど、おこってないです」



おそるおそるといったように上目遣いに見上げた視線の先、悟空の柔らかくて優しい光を宿す瞳があって。それから悟飯に視線をうつせば、にっこり笑顔が視野に映った。





「―――――――――………はぁ。よかったぁ。じゃ、これからみんなで海で泳ごっ!」





明るい笑顔に戻ったが、二人の手を握ったが。

「なぁ、オラ、こいつらにちょっと用があるんだ。悟飯と先、行っててくれっか?」


そういった悟空の顔は、笑顔だった。笑顔なんだけれども。
目、が――――――――――――笑っていなかった。



「え、と。そうだね。悟飯、先に行ってよ?」
「あ。うん」



軽く悟飯の手を引けば、なにかを察知したのか、悟飯も素直に頷いて引かれるままに足を動かした。
それを見送ってから振り返った悟空の瞳は、完全に据わっていて。





「お、オレたち、何にもしてないぜ! なあ!?」
「ああ、指一本触れてねぇよな!!!」



ガタイの素晴らしい男が出てきただけでもビビるのに、その瞳には怒りの炎がめらめらと燃えていて。
すくみ上がる男たちが口々に言い訳を始めたが。



「おめぇらのを見る目が、許せねえ。まぁ、可愛い上に今日のあの格好はちょっと色っぺえからな〜。でも、に手ぇ出そうとしたおめぇらは、見逃せねぇんだよ」



烈火のごとく怒りを露わにした瞳でぐるりと周りを見渡してから、にっと笑う悟空の表情に、男たちはごくり、と生唾を飲み下して覚悟を決めた。















「悟飯、波が来たよっ!!」
「ハイ、うわぁ、きもちいいっ!」

砂浜に座って、波に足を遊ばせていると悟飯を見つけて、悟空は破顔する。
小走りで走ってそばに行けば、二人してくるんと見上げて笑ってくれる。

「あ、おとうさん!」
「お帰り悟空〜」
「ああ、ただいま。どうだ悟飯、海はいいだろ?」
「うんっ! ざぶ〜んって、なみがくるんだよ! さいしょはこわかったけど、いまはもうだいじょうぶ!」


立ち上がってばしゃばしゃと波間を走る悟飯を見て、と悟空が笑い合う。





「あ〜あ、でも今日は再認識です」
「なにがだ?」

じいっと見つめて、ちょっと笑って苦笑混じりにそう言ったに、悟空がきょとんと聞き返す。


「悟空は、やっぱりモテるんだな、ってね。ちょっと、う〜ん……かなり、心配、かも」


照れたように笑うに、悟空は軽くため息をついて。
が自分を心配する以上に、自分はが心配だっていうことを、彼女は絶対わかってないんだろうな、と苦笑した。



「オラは、しか見てねぇよ。今までも、今も、これからだってずぅ〜っとな」



くしゃくしゃ、とその柔らかい髪を撫でれば、フワン、と目を細めて柔らかい笑顔を浮かべてくれる。ほんのり桜色に染まるその頬っぺたがふわりと緩んで。



「ふふ。うん、わたしもだよ。悟空と、それから悟飯。わたしの命より大切なんだ」





元気に走り回る悟飯を目で追って、ニコニコと笑うの耳元に唇を寄せて。





「その水着、すげぇ似合ってる。ちょっとオラ、やべえかも」





そう囁けば、が悟飯から視線を外して、ビックリしたように目を丸くして。
悪戯っぽく笑う悟空の顔を、真っ赤に染まった顔で軽くにらんだ。



「こんなところで、そんなこと言わないでよ〜///」



ガバッと立ち上がって、悟飯の元へ走っていくの後を、悟空は笑って追いかけた。

















華奢で綺麗な女の子と。
逞しくてカッコいい男の子と。
めちゃくちゃ可愛いお子様と。





無邪気に笑い合いながら楽しそうに海水をかけっこしている姿が、その日海水浴に来ていた方々の視線を集めていたことを、三人は知らない。




















――――――――――――後日。


「ね、悟空?」
悟空「なんだ?」
「見て見て〜、水着の、あ・とv」(肩のところ)
悟空「………、オラを煽ってんのか?」
「は!? そんなわけないじゃん! くっきりついたから自慢してやろうかと……うわっ!」
悟空「悟飯とっくに寝てるしな。へへへ」
「へへへ、じゃない〜〜〜! 違うの悟空さん煽ったんじゃないってば降ろしてーーー!」




















という感じの、海水浴騒動でございました。
う〜ん、ちゅ、注目…集めてるかどうか微妙なところで;
スイマセンですっ、いつもなんか趣旨ズレまくりでm(__)m
未央様、こんなふうに仕上がってしまいましたが、リクありがとうございましたww
、お付き合いくださって、多謝です〜
余談ですがブルマさん、、、いったいなにを作ってたんでしょうね?