朝、目を開けたら、目の前に愛しい人がいた。
一瞬頭が真っ白になって、一気に身体が硬直する。
あれ!? あれ!? え〜〜〜と!?!?
焦りに焦って、忙しなく瞬きして。
――――――ようやく思い出した。

『ヨロシクな、オラの奥さん』
『幸せになろうね、わたしのだんな様』





序章:衝撃の始まり





筋斗雲に乗せられて、悟空の家に連れてきてもらったのは昨日の夕方。
見渡すかぎり、山・山・山。
まさに大自然の緑一色の中、可愛い中華風のお家がぽつんと一軒建っていた。


もとより田舎育ちゆえ、そんな景色が妙に馴染み、さらには大好きな人との『結婚』という言葉に酔いしれて。
すごく、すごーく幸せな気分だったのだが、天下一武道会で酷使した身体と、ものすごくすり減らした神経のせいで、安心したと同時にひどい眠気が襲ってきて。



―――――――――そのまま、寝ちゃったんだ………。



ゆっくり深呼吸をして、硬直した身体をほぐしてから、自分を抱きかかえるようにして眠っている『だんな様』を窺い見る。

その寝顔は、つい昨日、激しい死闘を繰り広げ、見事にこの世界を救ってくれた世界最強の男とは思えなくらい、無防備で、あどけなくて。
安心しきったその穏やかな寝顔に、愛しい気持ちが溢れてくる。

そっとその厚い胸板に頬を寄せれば、規則正しく脈打つ心音。





「悟空、大好き」



自然囁くように漏れた自分の声に、小さく笑う。
こんなふうに自分の気持ちを伝えることができる日が来るなんて、一年前までは思いも寄らなかった。
気持ちを伝えるどころか、現実に逢うことなんて不可能で、今みたいに悟空のとなりで目覚めることなんて、夢の中でしか存在しない願望だったのに。





今、悟空の腕の中にいるその事実が。
―――――――――怖いくらい幸せで、泣きたいくらい嬉しくて。






「オラも、でぇ好きだ」

「!?!?」




寝ているものかとばかり思っていた彼から答えが返ってきて、微笑をこわばらせ、驚いて起き上がろうとした身体をグイッと逆に抱き寄せられた。



「やっ、起きてたの……っ!?」


見上げた先には、ゆっくりとまぶたを持ち上げた悟空の漆黒の瞳。
穏やかで澄んだその瞳が、朝の陽射しの中、柔らかく優しくきらめいていて、すごくキレイだと、そう思った。


「うん、さっきな。それより…へへ。、もっぺん言ってくれよ」

「な、なにを……?」



悪戯っぽい悟空の笑みに、たじたじと聞き返す。
言ってもらいたいことはわかってるけれど、なんだかしてやられたようでちょっと悔しかったし、なによりすごく恥ずかしい。


つついと視線を逸らして真っ赤になったの滑らかな額に、悟空はそっと口付ける。
小さく見じろきする彼女の反応が、可愛くて仕方ない。


「な? もっかい聞かせてくれって」


もう一度催促すると、は顔を上げ、悟空の瞳を見上げた。
潤んだ瞳が朝日を反射してキラキラしていて。
ふわっと和らぐその甘やかな光と表情に、思わず見惚れてしまう自分を感じる。





「………ぇ、と。悟空が、大好き、です」

「………オラも、がどうしょうもなく大好きだ」




見つめあうこと約数秒。
それからクスリ、と笑い合い。
どちらからともなく瞳を閉じて。





――――――――――――そっと、唇を重ねた。

















「さて、と。じゃあ、そろそろいいかしら?」


お互いの存在がすべてだと思っていた、この場所。
そこに突然入ってきた、妙に聞き覚えのあるその声。


ギクリ、と。
聞きまちがいであって欲しいと願いながら、二人して恐る恐る声のしたほうに視線を向ける。





そこには。





「おはよう♪ 孫くん、ちゃん」



にっこりと、それはもうにっこりと笑う超絶美女が二人の視界に飛び込んできて。



「――――――――――――っっ!!!!!」















絶句する悟空とを、アイスブルーの瞳とアイスブルーのサラサラヘアーの美女・ブルマが、勝ち誇ったような笑顔をそのお綺麗なお顔に浮かべて、立っていた。





















そんなこんなで、新連載スタートですw
結婚話からってことで…原作から脱線してしまって申し訳ないのですが、、、
しばらくお付き合いくださいますと嬉しく思います〜(^^;