「………だからね。ちゃんも本音は孫くんとお風呂に入りたいのよ。でも彼女、一線越えたにもかかわらずいまだにものすごい恥ずかしがりやなのよね〜。そこが可愛いんだけど。ねっ、孫くん?」
「ああ。ホントに可愛いんだvv ……って、なに言わせんだよ、ブルマ!」
「あ〜も〜ノロけんなってっ!! それより本題だよ本題!!!」
「クリリンの言うとおりだぜ。はっきり言ってちゃんは頑固だぞ。なぁ悟空?」
「そうなんだよヤムチャ。あいつ、いつもは素直でふわふわしてるのにさ、変なとこで絶対引かねぇんだよな」
「そうねぇ……。そこが問題なのよ。とにかく、ちゃんの『恥ずかしい』って概念を吹き飛ばすいい方法はないかしらねぇ」
「う〜ん……難しいですね〜」
ブルマ、悟空、クリリン、ヤムチャ、プーアルが額を寄せ合い、ああでもないこうでもないと論議しあっている中、悟空だけにオイシイ思いをさせてたまるかと知らんぷりを決め込む亀仙人とウーロンの間を縫って、ランチが男部屋に入り込み。
「簡単だぜ。――――――酒だ酒。酔わせて一気に行っちまえばいいんだよ!」
それは反則というか犯罪じゃ………
そんなことをたじたじと思う男性陣をよそに、ブルマの目が輝いた。
「その手があったわ!!! ランチさん最高!!!!!」
かくして、『悟空とを二人っきりで温泉に入れる』作戦、今宵決行する運びとなり。
男性陣、女とは恐ろしいものだ……と思っていたとかいないとか。
GoGo!! 温泉パニック *後編*
さすがに秘境、自慢の湯。
乳白色のにごり湯は、ちょっと熱めだけれど、身体の芯からあったまる。
「はぁ。極楽極楽〜」
あまりの気持ちよさに、思わずもれるの吐息と言葉。
「こりゃホントにキモチいいぜ。たまにはこんなのもいいかもな」
肩まで浸かってそう言うのは、金髪美人のランチさん。
「次! 続いて露天風呂行ってみよ〜♪」
大浴場からざばっと上がってそう提案するのは、セクシー・ナイスバディのブルマさん。
つるつるすべすべ卵肌。
温泉、最高!!!
『貸切風呂を借りる』といって出て行ったブルマと、帰りの遅い彼女を探しに行ったランチが、なにやら意気揚々との待つ女部屋に帰ってきて。
なんとなく不安を抱きつつ、かの話題に触れないようにが夕飯前に温泉に入りたいといったら、あっさりにっこり二人は頷き。
そして、、、今に至る。
いっぱいいっぱいだった気分など吹っ飛び、幸せな気分でブルマの提案どおり大浴場から露天風呂に移って、そこからの絶景に感動したまではよかったが。
「おぉ! きたっ、来たぞ!!! 湯気がジャマでちょっと見にくいけど……あ、くそ!! まだ見てないのに温泉に浸かっちまった!!!」
「あれは……おお!! 間違いなくブルマさんとランチちゃんとちゃんじゃ!!! ええいくそっ、温泉がにごり湯じゃなけりゃばっちり見えるというにっ!!!」
垣根一枚隔てた先は、男湯の露天風呂だったらしいその隙間から覗く二対の目。
女部屋から出て行った三人をつけていき、女湯の脱衣所に入るのを確認し、男湯の露天風呂で待ち伏せしていた。――――――そのいやらしく緩んだ口元とそのヤラシイ目は、まごうことなきエロコンビのもので。
いち早くその不穏な空気に気づいたのは、。
その目の持ち主をすぐ認識し、カチン、と固まり。
イヤ、固まってる場合じゃない!!!と、次の瞬間ざばぁ!!!と勢いよく首まで温泉にその身を沈め。
「――――――うっっっぎゃーーー!!! なにやってるんですかウーロンさん亀仙人さん!!!!!」
「どうしたの……ってキャアァァア!!! このスケベ!!! 覗き以外の何者でもないでしょちゃん!!! 自慢の武術で一発かましてやんなさい!!!!!」
「そんなこと言ったってブルマさん!!! まっ裸で暴れてたら痴女ですよ!!!」
「うるせえ!!! 俺がやるからそこどけーーーーー!!!!!」
ドババババババババババ!!!!!
………ランチ、風呂場にまで持ち込んでいたマシンガンで、亀仙人、ウーロンを打ち抜いた。
大絶叫。大騒ぎ。さらには器物破損。
まさに血を見る温泉騒動。
――――――夕食の席には、むすっとした女性陣三人と、腕やら足やら頭やらに包帯を巻いた亀仙人とウーロン。
「……どうしたんですか? 武天老師さまも、ウーロンも」
そんな怪我をして、と怪訝そうに聞くクリリンに、へへへへ、と情けない笑いを零す二人。
それにきっつい視線を投げかけるランチとブルマ。
「どーもこーもねぇぜ……ったく」
「まったく信じらんないわよこのドスケベコンビ!!!」
「なんだなんだ? ま〜たなんかやったんですか、武天老師さま?」
「ウーロンも懲りないヤツだね〜」
ヤムチャとプーアルが呆れ顔でけが人二人を見て。
「……覗いてたんですよ、女湯。ゼッタイ許せ―――――――――」
「なんだって!!! 見られたのか、!?!?!?」
許せない、とめずらしく思いっきり不機嫌顔で言おうとしたの言葉は、悟空の怒鳴り声で途切れた。
集中するその場の全員の視線の先の悟空は、そりゃもう、烈火のごとくお怒りモード全開で。こめかみに浮かんだ青筋がぴくぴくとなっており。
「い、イヤ落ち着け悟空! 湯気とにごり湯で殆ど見えんかった!!! 本当じゃ!!!」
「いや、殆どどころかまったく見えなかったからよっ!!!」
「………というわけだから、とりあえず落ち着こうね、悟空」
が「ドウドウ」と悟空の腕を叩く。
そりゃ覗かれたことに対しすこぶる腹を立てていたのは事実だが、あまりの悟空の過剰反応に、気をそがれてしまって。
さらには逆鱗に触れた二人を見る悟空のものすごい視線。それに縮み上がる亀仙人とウーロンに、幾分か同情してしまった。普段穏やかなだけに、怒るとそりゃもうおっかないのだ、悟空は。
「今度やったら……絶対許さねぇからな………」
ふぅ、と自分を落ち着かせるように息をついた悟空が、念を押すように低く呟き、エロ二人を射抜く。
二人は勿論のこと、以外の全員が、「コイツを怒らせちゃいけない!!!」と心の中で冷や汗をかいていた。
「―――――――――まぁ、とりあえず。乾杯しましょ、乾杯!」
気を取り直したブルマが、シュポン、とビンの栓を開け、グラスにそれを注いでいく。
「あ、ブルマさん、わたし、お酒はちょっと……」
目の前になみなみと注がれるそのにおいは、紛れもなくアルコール。
まだお酒を飲んだことのないの戸惑ったような声に、ブルマとランチはにんまり笑い、男性陣たちはぴくんと反応し表情を硬くする。
忘れてた。
これから自分たちの仕出かすことは――――――明らかに犯罪に近いことを。
そうとわかっていても、ブルマとランチに対して「やめたほうがいい」と進言できる勇気あるものは一人もおらず。
「あら、今日くらいいいじゃない。久しぶりの再会なんだから。ね、ランチさん?」
「そうだぜぇ。風呂上りの酒は格別だぜ。ためしに飲んでみろよ」
「あ……うん。そうなんだ?」
ちょっとは興味があったので、とりあえずグラスを手に取った。
「それじゃ、久々の再会に、かんぱ〜い♪」
ブルマの呼びかけに、カチン、とみんなとグラスをぶつけてためしに一口、飲んでみる。
じぃ、っとその様子を見守る面々。
「……どう? おいしい?」
「ん〜、オレンジジュースみたいな感じ。ちょっとにがい……けど、おいしい、かなぁ」
首をかしげて、また一口。
「うん。おいしいかもw」
にっこり笑ったの飾らない笑顔と、「よかったわね」と笑うブルマとランチの裏のありまくる笑顔。
まぁ、そんなこんなで食事も進み、そんな犯罪のにおいも忘れて談笑すること約二時間ほど。
「う〜〜〜〜〜、眠い!!! わらし、ねぶい〜!!! もう寝る〜。悟空、抱っこ〜〜〜vv」
「うわっ、お、おい、? 大丈夫か、おめぇ」
「らいじょうぶ〜。いいから抱っこしてよ〜〜〜」
顔 → 真っ赤。
呂律 → 怪しい。
どう見ても酔っ払ったのお膳の周りには、酒瓶が5、6本カラになっている。
眠い眠いとしなだれかかってくるのカラダは、いつもよりも熱くて。
二人の時だってこんなふうに無条件に甘えてきたことのないに、思わず頬が緩んでしまい、彼女の柔らかい感触と甘い声に理性が飛びそうになる悟空。ってゆうか。
「………ブルマ、ランチ。おめぇたち」
ぐらつく理性をなんとか確立し主犯格の二人を見て、悟空は言葉を失った。
「あ〜、なに? 孫くん」
「ごくっごくっ―――――っか〜!! この酒うめ〜なぁ!」
思いっきり、酔っ払ってるじゃあありませんか。
完全に出来上がってる二人が、悟空の首に腕を回して「抱っこ抱っこ〜……」といいながら今にも目を閉じて眠りに落ちかけているを見て。
「あ〜、ごめんね孫くん。ちゃん、酔いつぶれちゃったみたいね〜。まぁ、ムリだとは思うけど?一応貸切風呂のカギは渡しとくわ。朝までだからね〜」
「こりゃ二人で温泉は次の機会だな。わり!」
ドンチャンドンチャンと騒ぐ二人。
「はぁ。……クリリン、オラ、寝かせてくっからな」
「お、おう。わりぃな、結局なんにもできなくてよ」
よいしょ、と眠ってしまったを抱き上げて「気にするな」と淋しく笑う悟空を、クリリンは気の毒そうに見送った。
ふと、目が覚めたら、両隣にブルマとランチが転がって眠っていた。
「あれ?……え〜と………?」
身体を起こしたの頭の周りを、「?」マークが飛び交っている。
えと、ご飯食べながらお酒を飲んで、それから……どうやってここに帰ってきたのかすら覚えていない。
ま、いいか、と思いながら壁にかかった時計を見ると、現在時刻は午前三時を回ったところで。
「お風呂、24時間だったよね。……入ってこようかな」
すっきり目覚めてしまったはそう独り言を呟き、浴衣の上に羽織を羽織って、ブルマとランチを起こさないようにそっと部屋を出た。
眠れない。
の柔らかくて熱い身体の感触が悟空の感覚を刺激して、どうにも目がさえてしまった。
仲間たちはみんな、高いびきだ。
「どうしょうもねぇなぁ……」
寝返りを打った悟空の浴衣の袖から、何か固くて小さいものがふとんの上に転がり出てきて。
それは、ブルマに渡された貸切風呂のカギ。
「貸切風呂か…。せっかくだから入ってくるか」
ひとりで入ることになってしまったのはちょっと虚しいが、悶々と眠れないよりはいいと思い、悟空は身体を起こした。
風呂場のある階に降りていった悟空は、人気のない静まり返ったその空間の中、うろうろとさまよっている人影を見つけた。
「――――――――――――?」
「っ!! あ、悟空………!」
いるはずのないの姿を見つけて、悟空がいぶかしげに声をかけると、驚いたように目を見開いて振り返ったが、自分の名前を呼んで安心したように顔を綻ばせた。
「なにやってんだ? こんなところで」
まさか会えるとは思ってもみなかったので、自分のほうに歩いてきたを見ながらそう言うと、彼女は「うっ」とバツが悪そうに苦笑して。
「んと、目が冴えちゃったんでお風呂に入ってきたんだけど……その、部屋に戻れなくなっちゃって……。悟空に会えて、よかったぁ」
それで彷徨ってたのか。
つくづく、方向音痴だなぁ、と笑ってしまう悟空。
「悟空こそ、 こんなところでなにしてるの?」
切り返されて、悟空はふと考えた。
今自分は、貸切風呂に一人で入るためにここに来たのだが、偶然にも一緒に入りたいと思っていた片割れが目の前に現れて。おそらく酔いが醒めてしまってるには言ってもダメかもしれないけれど。
ここは、駄目で元々。誘ってみるべきだろう。
「うん。ブルマから貸切風呂のカギもらったんだ。せっかくだから入ろうと思ってさ」
「ぅえ!? か、貸切風呂………!?!?!?」
本当に借りたのか。。。と、その存在をすっかり忘れていたが大いに動揺し。
そんな彼女のうろうろと彷徨う瞳をつかまえて。
「なぁ。……一緒に入るか?」
小首を傾げての悟空のお伺い。
どうしよう。。。は、入ってみたい……! でも、恥ずかしい///
入りたい恥ずかしい入りたい恥ずかしいが頭の中でぐるぐる回っていたのだが、唐突に、「旅の恥はかき捨てよ!」というブルマの言葉が脳裏をよぎった。
なんか、なんか違う気がするし明るいところで素っ裸になるなんてそりゃブルマさんみたいにボンキュボ〜ンのセクシーナイスバディだったらいいけどヤセぽちでアバラとかやばいしそんな見せられるような体してないしああでも!!!
ええいっ!!! 『旅の恥は書き捨て』だ!!!
女は度胸!!! 決断の時よ!!!!!
「―――――――――う……ん。入って、みよう、かな」
しばしの葛藤の後、決死の覚悟をした割には蚊の鳴くような声でもれた自分の声が、なんだか情けなかったけど。
心臓はドックンバックンとうるさいくらいに耳元で鳴っていて。ゼッタイ耳まで真っ赤になってると確信しながら、恥ずかしさでぶっ倒れちゃうんじゃないかと思うくらいいっぱいいっぱいなと。
まさか肯定の返事をもらえるとは思っていなかったので、浴衣から見える白いうなじを桜色に染めながら視線を逸らして頷くに、艶と色気を感じて緊張する悟空。
照れを隠すように悟空はの頭にポン、と手を乗せ。
「よし。じゃ、入るか」
「うん」
悟空を見上げて、は照れくさそうに笑う。
みんな寝静まった深夜。
かなり遠回りだったけれど、とにもかくにも二人はやっと二人っきりのお風呂を体験することができたことを、仲間たちは知らない。
ちなみに。
貸切風呂の中は、こじんまりとした檜風呂で、大浴場や露天風呂とは違い、すきとおった透明のお湯だった。
最初こそ恥ずかしがっていたものの、結局お風呂大好きは、その檜の香りのする温泉に肩までゆっくり浸かって、「極楽〜」と呟いていたそうな。
悟空は悟空で、いつも抱きかかえて眠っているその身体がお湯でほんのり赤く染まるのを見て思わず欲情してしまったのだが。のほほんと幸せそうなを見ていたら、そんな疚しい気分も静まり。
おんなじお湯に浸かりながら、(可愛いよな〜vv)と見惚れる愛妻家の悟空の姿がありました//

こんなんで、すいませんっ(≧人≦;)
かな〜り微妙な仕上がりになってしまいました///
初リク作品:微妙。うぅ・・・。
リクエストしていただいたそらサマ、どうもありがとうございました☆

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