想い人に逢える。
そう思うだけで、どうしようもなく緩んでしまう頬。
「じゃ、行ってくるぞ」
破顔してカメハウスを出る悟空に、ヤムチャが念を押す。
「悟空、くれぐれも昨日の夜言ったことだけは守ってくれよな」
それにクリリンが同意し。
「そうしないと、ブルマさんの逆鱗に触れて結婚できなくなるかもしれないぞ」
そして最後に亀仙人。
「もうおぬしのせいでブルマちゃんに怒られるのはウンザリじゃ」
うきうきする悟空に反比例する、疲れた顔のお三方。
「わかってるって!」
悟空は親指を立ててにっと笑った。
約束その@:今日中にカメハウスに戻ってくること。
約束そのA:に触れるのはキスまで。それ以上は絶対にしないこと。






第七章:ドキドキ初デート






悟空が筋斗雲を飛ばしてカメハウスを後にしたころ。
カプセルコーポレーションでは、がブルマの着せ替え人形と化していた。

「う〜ん、これも可愛いけど、こっちも捨て難いわねぇ…」

次から次へと引っ張り出してはポポイと放り投げ、服ととを見比べてウ〜ムと唸っているブルマに、は正直なところ辟易だ。

可愛い格好をしたくないことはないし、むしろ記念すべき初めてのデートなので、そりゃ一番自分が可愛く見える服を着たいとは思うけれども。
かれこれもう二時間は経とうとしているブルマの服選び。いかな忍耐強いほうだとはいえども、困ったような微苦笑が漏れたとき。


「……ブルマさん、悟空がもうすぐ来ちゃいます」

あらぬ方向に視線を飛ばし、が小さく呟いた。

超スピードで近づいてくるのは、紛れもなく大好きな人の気。圧倒されるほど大きいのに、穏やかで優しくて、暖かいその気配。
久しぶりに感じるその心地よい気に、の顔にはふんわり自然の笑みが広がる。


「……ほんと、便利よねぇ。そのヘンな能力。―――――じゃなくて、急がなきゃ!」


ほんわか笑うとは裏腹に、ブルマは焦ってクローゼットを引っ掻き回した。










そして。

の言ったとおり、それから程なく悟空はカプセルコーポレーションの上空に到着し、筋斗雲を下降させた。


「おまえさん、どちらさんだね?」

いきなり自宅のお庭に降りてきた悟空に声をかけるのは、この家の主でホイポイカプセルを発明した超天才科学者、ブリーフ博士。つまり…ブルマのお父様だ。

その声にくるりと何の気負いもなく振り返り、悟空は懐かしそうに破顔する。

「あっ、ブルマの父ちゃん! ひっさしぶりだなぁ。オラだよ、孫悟空だ!」

「悟空? 悟空って…ああ! ブルマの友達の、チビだったあの悟空か?」

ほお〜、と、そのでかくなった悟空の顔を見上げ、ブリーフ博士が感嘆の声を上げていると。


「んまあ、悟空ちゃん? コレがあの可愛かった悟空ちゃん!? きゃあ、まあまあ素敵になっちゃって。今度ママとデートしてくれないかしら」


ブリーフ博士のお茶の準備をしてきたブルマのお母様が登場。
悟空を見たとたんにキャイキャイとはしゃぎだし、しっかりと悟空の腕に自分の腕を絡めてのお誘いを、夫の目の前でやって見せるブルマのママ。

悟空は突然くっついてきた彼女に唖然とし、それから居心地が悪そうに腕を解こうとしながら。


「わりいんだけどさ、でぇとはとじゃねえとできねぇんだ。そうしないと『浮気』ってんで、に嫌われちゃうんだってさ」


なけなしの知識は、昨夜クリリンたちに刷り込まれたおぼえたてのホヤホヤだ。


「ああ、そうだったわね。悟空ちゃんはもうすぐ結婚しちゃうのよねぇ。残念だわ〜……じゃあ、ちゃんにナイショでデートしましょ? だったら嫌われないわよ」


「ダメですよママ。ママが悟空とデートなんかしたら、淋しい!」

「んもう、パパったらヤキモチ妬きさんなんだから〜」


ハハハ、ホホホとちちくりあいを始めるご夫婦を目の前に、わけもわからず悟空もつられて笑っているところに。



「悟空〜!」

自分の名を呼ぶ、高い声。
その澄んだ音と、以前(といっても十日ほど///)と少しも変わらない春の陽射しを感じさせる優しくて暖かい気配は、紛れもなくのもので。
悟空はそれに過剰反応し、バッとその方向に視線を向けた。


満面の笑みで自分のほうに手を振りながら走ってくるを瞳がとらえた瞬間、悟空は一瞬かたまり。
それからボッと一気に顔が熱くなるのを感じる。


いつも結わえてある髪は今日はそのままおろしてあって、風に靡いてさらりと流れている。
ジャージやスパッツがほとんどだったの服装は、今日は薄いピンクのノースリーブワンピース。
きれいな鎖骨が動くたびに見え隠れするゆったりした襟元や、ちょっと短めのスカート丈は、幾分かはお色気が出るはずなのに、が着ると不思議と清純な可愛らしい服にみえてしまうのは、やっぱり内面からくる雰囲気なのだろう。
とにかく、色合いといい、デザインといい。
さすがブルマが選んだだけあって、似合いすぎるくらいに似合っていた。



修行や武道会のときとはまったく違う、そのいでたち。
服装なんか気にもとめず、なりふりかまわず頑張っていただったが、それだって悟空にとっては特別に可愛い女の子だったのに。
本日のこの姿はもう、反則以外のなにものでもないくらい。




すっげぇ、可愛い///




ボー、っとに見惚れる悟空の様子に、彼女の後からやってきたブルマががっつりこぶしを握りしめ、にんまり微笑んだ。



「デートを知らなかった孫くんに任せてたらどこ行っちゃうかわかんないし、ちゃんにいたってはこっちの世界の地理なんてまったくわかんないだろうから…とりあえずこれで一日遊んできなさいね」



そう言ってブルマが悟空に渡したのは、先日の買い物の福引で当てた遊園地の券。
悟空は差し出されたそれを上の空で受け取りながら、ブルマの隣に立つあと少しで自分の嫁になるだろうに目を奪われていた。



「………へ、へん?」



悟空の視線に気づいたが、さりげなくブルマの後ろに隠れながら、上目遣いに悟空を見上げて不安そうに問いかける。


「…………あっ、と。い、いや、ぜんぜんヘンじゃねぇよ」


見違えた。あんまり可愛くて。


さすがに気恥ずかしくてそこまで言えなかったが、は「そっかそっか、ヘンじゃないか」と安心したように胸をなでおろし、改めて悟空を見上げる。



久々に見た悟空は、見慣れたカメマークの道着ではなくて。
洗いざらした白いシャツをラフに着こなし、ジーパン姿。
初めて見る道着以外の悟空の服装が、なんだか新鮮で―――――――――かっこよくて。

心臓はドキドキ騒ぎ出し、頬っぺたが熱くなってくる。





お互いのいつもと違う雰囲気としばらくぶりの再会に、緊張して真っ赤になる二人を見て、それまで忘却の彼方に忘れ去られてしまっていたブルマの父母がニコニコ笑い出した。


「んふふ♪ 初々しいわねぇ。若いっていいわね、パパ」
「ママは今でも充分若くて綺麗ですよ」
「んまぁ、パパったら」


娘の目の前だなんておかまいなしで、ラブラブ夫婦愛を見せ付ける父母に、ブルマは軽く額をおさえる。



「………とにかく孫くん、ちゃんを貸すのは今日一日ですからね。今日中にちゃんと返すのよ。それと、フィアンセとはいえまだ結婚前なんだから―――――――――」
「ちゅーまでしかしちゃダメってんだろ? わかってるって。ヤムチャたちにも言われたもんな」


にっかり笑ってブルマの言葉を継ぐ悟空の得意そうな声に、の顔が沸騰した。

まったく恥知らずなんだから、と軽くため息を落として悟空を見てから、ブルマは真っ赤になったに視線を移す。



「わかってるならいいわ。じゃ、今日一日楽しんできてね」

ぱちんとウインクするブルマに、まだ冷めない頬っぺたのまま、はふんわり笑って頷いた。










雲ひとつない晴れ渡る青い空。

「わたし、晴れオンナなんだ」

筋斗雲で飛んで行こうと思った悟空に、必死に、それこそ涙目になりながら「近いから歩いていく!」と主張した高所恐怖症のが、ほわっと笑いながらそう言った。

「晴れオンナ?」
「うん。出かけるときってね、たいてい晴れるんだよ」

得意そうに見上げてくるの澄んだ瞳を、悟空はちょっとドキドキしながら見返して。

「でもさ、パパイヤ島に着いたときは雨降ってたよな」
「そうだねぇ。たぶん、悟空が雨オトコだからじゃん? ああでも、悟空って雨より太陽って感じだよね。それに、夕方には晴れたしね〜」

自分が雨オトコだったら今日は晴れなかったんじゃ…とも思ったのだが、「あのときの夕陽、すごくキレイだったなぁ」と笑顔を浮かべるに、悟空も笑って頷いた。


そんなたわいもない会話をしながら歩いていく二人の視界に、遊園地の可愛い門が入ってくる。


「遊園地なんてひっさしぶり! 早く行こっ!」


にっこり笑って、が悟空の手を取り引っ張った。
その柔らかくて暖かい温もりにどうしようもなく幸せを感じてしまう。

ヤベえ、オラ、がすげぇ好きだ。


思わず再確認したその事実に、自然緩んでしまう頬。
楽しそうなの笑顔に、同じく嬉しそうな笑顔を返して、悟空は繋いだ手に軽く力をこめた。

「うん、行くか!」















で、遊園地の敷地内に入った二人は。

「うわぁ! …うん、世界は違うけど乗り物はあんまり変わんないねっ。よし、目指せ! 全制覇!!!……観覧車を抜かしてね」

「ははは、よし、片っ端から乗ってくぞ!」


力強く宣言しつつ、観覧車は乗らないと釘を刺すことも忘れないに苦笑しながら、そのテンションメーターにつられて悟空も気分がハイになってくる。


絶叫マシーンは当然のこと、コーヒーカップや遊覧船、はたまた普段はおとなぶって乗らないメリーゴーランドまで、悟空の言葉通り片っ端から乗りまくり。





そしてひとつの入り口を見て、の足がぴたっと止まった。

? どうした? 次はここだぞ」

「――――――――――――ここは、ちょっと………パス、したいかな、なんて」


不安げに揺れる瞳が見上げるのは、『お化け屋敷』の恐ろしげな血文字と、幽霊や妖怪の妙にリアルな絵。
はっきり言って、は幽霊が怖い。いや、正確には、『わっ!』とか言って驚かせられるのが苦手なわけで。
お化け屋敷といったら、物陰からいきなり怖い衣装を着た人が出てきたり、真っ暗闇で見えないところから急に何かが現れたりと、の苦手分野が盛りだくさんなのだ。


「なんだよ、怖いんか?」
「う〜〜〜、


悟空の問いに返ってきたのは、怖いけど弱虫だと思われたくないと言外に語っているような、そんな感じの頷きで。……そのうつむいた顔に、なんだか悪戯心が刺激されてしまう。

「観覧車意外は全制覇するんだろ? オラと一緒だぞ。でぇじょうぶだって」


悪戯っぽく笑う悟空を見て、はう〜んと唸った。
お化け屋敷も除外に入れとけばよかったなぁ、なんて思いながら一瞬悟空から視線を外し。
しばしの葛藤後、そうっと上目遣いで悟空を見上げた。




「じゃあ悟空さん、手、繋いでくれますか?」


としてみれば、手を繋いでもらえれば、いざビックリさせられる場面に出くわしたとしても目を瞑ってやり過ごせると、そういう思惑で申し出たわけだったけれど。
悟空にしてみたら、その妙に丁寧な言葉と上目遣いに完全にやられてしまって。


「あ、ああそうだな! 繋ぐか!」
「?」


なんだか真っ赤になって力いっぱい頷いて手を差し出した悟空に、「どうしたんだろう?」と思いながらも、苦手分野を目前にしたは不安そうにその手を取り、そこに入っていったわけだが。




「う〜ら〜め〜し〜や〜」
「わたしじゃないっ! わたし何もしてませんっ!!!!!
「ばぁ!」
「ふぎゃーーー!!!」
「うわっ、! 待てよ!!!」



最初こそ挙動不審にあたりをきょろきょろと見回していたに、怖がってる彼女も可愛いなぁ、なんて色惚け全開で見ていた悟空だったのだが、いざ幽霊が出てきてみれば。
なんだか意味不明でユウレイに言葉を返し、脅かされた挙句にパニックを起こし、繋いでいた悟空の手を振り払って逃げ出してしまう有様だ。



暗闇の中に消えていくの背中をあわてて追いかけてみたものの、パニクって全力疾走のスピードでいったらそんな彼女に追いつけるはずもなく。
まぁ、あの速度で走り抜ければすぐにここから出られるだろう、と楽観的に思いながら、悟空も小走りでお化け屋敷の中を駆け抜け、外に出れば、案の定。


先に出ていたが端っこでうずくまっていて、悟空を見たとたん、うるりと瞳を潤ませた。


「やっぱ怖いよ、お化け屋敷。もう入らない。ゼッタイ入らない!!」

「ああそうだな。パニクられっとさすがに追いつけねえよ」



苦笑しながらうずくまるに手を差し出せば、ちょっと顔を赤らめて自分の手を取る
今更ながら、作り物にあんなにビビッてしまい、さらにはあそこまでパニックを起こしたのがものすごく恥ずかしい…。

悟空、呆れちゃったかな…、なんてちょっと不安になって自分のとなりに立つ悟空の顔を覗きこんでみれば。


「怖がってんのわかってんのに、悪かったな。なんかさぁ、が可愛くって、ちょっと悪戯したくなっちゃったんだ」

ぽりぽりと頬っぺたをかきながら、バツが悪そうに笑う悟空。
そんな悟空の顔と、言われた言葉に、なんていうか、すごく――――――嬉しくなってしまう。
気持ちそのままに緩む頬。


「えへへ、ねぇ悟空?」
「なんだ?」
「だ〜いすきvv」



きゅっと手を握り、ふんわり笑いながらするりと出た自分の言葉に、次の瞬間ものすごく恥ずかしくなってしまって、は顔を赤くしたままガバッと立ち上がり、誤魔化すように次のアトラクションを指差した。


「さて、じゃあ次! 次いってみよ〜!」


タタタ、と走っていくの背中を、不意打ちを食らった悟空はやっぱり頬を染めて。

「オラも、でぇ好きだぞ」

そう呟いてそのあとを追った。










そして、夕刻。
観覧車を残してすべて乗りつくしたと悟空は、大満足で遊園地を後にした。

「あ〜、楽しかったっ! 悟空と一緒だと、一日なんてあっという間だね」

ほわほわ笑うの顔は、夕陽に照らされてオレンジ色に染まっている。
その笑顔が愛しくて、に触れていたくなる。

ふと視線を落とせば、自分のとなりで揺れているの白い手。
衝動のまま、でも驚かせないようにそっとその手を握ると、ぴくん、と肩を揺らし見上げてくるの鳶色の瞳。
その赤く染まった顔に笑顔を向けると、もホワンと笑い返してくれる。それが、たまらなく幸せで。



「なぁ、最後におめぇに見せてえとこがあるんだけどさ。時間、まだ大丈夫だよな?」

思いついたようにニッと悪戯っぽい笑みを浮かべてそう言った悟空に、日もまだ沈んでないし、とが頷くと。



「じゃあ行くぞ。筋斗雲〜!!!」
「筋斗雲!?!?」




ひええ、と妙な声を上げるを、やってきた筋斗雲に有無を言わさず乗せて上昇させる。
言葉もなく抱きつくの背中に腕を回し、ぎゅっと抱きしめた。


「悟、空?」
「すぐ着くから、ちょっと我慢してくれな」


言うや否や、筋斗雲がスピードを上げて飛び出した。










悟空の言葉通り、ものの五分足らずで筋斗雲は止まり。

「ほら、着いたぞ」

悟空はを抱きしめたまま、筋斗雲を降りて地に足をつける。
おそるおそるといったように顔を上げたは、瞳に映った景色に息を呑んだ。


視界に映ったのは、小高い丘の上から見下ろす、沈んでいく夕陽。
まるでオレンジ色の海のように、夕陽に映える雲。
そこから見える山も川も湖も、あたり一面が橙に染まっていて。




「―――――――――………綺麗」
「だろ? ずっと前、初めてブルマんちに来たときに見つけたんだ。天下一武道会んときにおめぇが夕陽に見惚れてんの見て、連れてきてやりてぇなって思ったんだ」


へへへ、と笑いながらの言葉に、夕陽から悟空の顔に視線を移せば、その澄んだ瞳が夕陽を反射してキラキラ煌めいていて。



「………………ありがとう。嬉しい」


なんだか、ものすごく感動して、泣きたいくらい嬉しくなってしまって、こぼれそうになる涙を隠すために、悟空の胸に顔を埋めた。

トクントクンと伝わってくる心臓の音に、言いようのない安らぎと幸せを感じる。
―――――――――やっぱりこの場所が、一番安心する。


感じる幸福感に、穏やかに微笑んでいるの上から、悟空の柔らかい声が降ってきた。


「な、
「ん?」


呼びかけに顔を上げたと同時に。
悟空の唇がの唇を塞ぎ。

いつも突然なんだから、と思いながら目を閉じただったのだが。




「――――――――――――んぅ!」




し、舌、が………っ!



初めての感覚に焦り、思わず目を見開き反射的に逃げようとする身体を、悟空が強く抱きしめる。
背中に回った右腕で強く抱かれ、左手で頭を固定されてしまって、顔を背けることもできなくて。



ゾクゾク、と背中に走る快感と、熱く火照る身体と。
息苦しいのに、頭の芯が蕩けてしまうような感覚。





なに、この感じ………っ!









そして悟空は。
ヤムチャの授業を思い出し、大人のキスを試みたのだが、実際やってみて、その感覚に驚いた。


逃げようとするの舌を絡めとると、言いようのない疼きが身体の底から沸き起こってきて。
抱きしめるたびにから香ってきた甘い香りがいっそう強く鼻腔を刺激して、沸き起こった疼きが押し寄せ、熱くなる。心も、身体も。





すげぇ、ゾクゾクする………。





抵抗する身体をしっかり押さえつけ、もっともっとを感じたくて深く口付けていた悟空は、不意にがっくりと力が抜け全体重を預けてきたに、ハッと我に返り、唇を離した。


「はあっ、はあっ。く、苦しかった〜」


肺に精一杯酸素を吸い込み、が呼吸を整える。


「すまねぇ、なんか変な感じがしちまって。…大丈夫か?」

手で胸を押さえるを窺い見れば、その顔は夕陽よりも鮮やかな朱に染まっている。

「だい、じょうぶ、だけど………びっくりした〜」


まだはぁはぁしながら、つっかえつっかえ答えたは、惚けたような表情で、瞳は熱に浮かされたように潤んでいて。
そんなの顔を見ていると、触れてもいないのにさっきの変な疼きがまた悟空の感覚を襲い、正気に戻ったアタマがまた熱を持つ。



「悟空?」

なんだか深刻そうな悟空に気付いたに、心配そうに声をかけられ、悟空はあわてて照れ笑いを浮かべた。


「あ、ああそうだ! さっきのな、大人のチュ〜なんだってさ。なんだっけかな…え〜と」
「ディープキスね」


赤い顔のまま、クスリと笑ってが言うと、悟空はパッと破顔する。


「そう、それだ! よく知ってるな〜。大好きな相手にしかしちゃいけないキスなんだよな。だからおめぇに、したかったんだ」



悟空の言葉には更に頬を染め、恥ずかしさに視線をさまよわす。
その潤み泳いでいる視線を悟空はとらえ、その瞳をまっすぐ見つめて。


「オラはを愛してっぞ」

短く言って、を優しく抱きしめた。

抱きしめられたは、悟空が初めて言ってくれた『愛してる』という言葉に、身体中が熱くなる。

『恋』よりも強くて、『大好き』よりも甘い言葉………。





ねぇ悟空。わたしも。わたしもね。



「わたしも、悟空を愛してる」

頭ひとつ下から聞こえてきたその声に浮かぶのは、穏やかな笑み。

がそばにいるだけで、こんなに安心するんだ………。




















綺麗な景色の中で、幸せだな〜、と笑い合う二人の間には、穏かで安らかな時が流れていた。




















と、とりあえず先ず、、、ごめんなさいっ!!!(≧人≦;)
無意味になぜか長くなった割に、しょぼくて…;
こんな駄文を読んでくださってありがとうございましたm(__)m
精進しないとっ!!!